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普段は誰も足を踏み入れない片田舎に一軒の競売にかけられた物件があった。
見た目はボロい物件なのだが、どうやら持主の趣味でビンテージ風に作られた新築のアパートなんだそうだ。
細部のヒビや汚れはわざと付けてあるのだと誇らしげに言うのは、競売歴37年のうちのおじいちゃんだ。
おじいちゃんは競売を仕事にしているので物件を見る目は人一倍ある。
遠目から見ただけで競売にかけられた物件の価値がわかるのだ。
よく口癖で「競売の物件は、女と一緒なんじゃ~ヨ」といっていた。
しかし、おじいちゃんは、今回の競売物件に関しては、手を出そうとしなかった。
物件自体は、すごく良くできていると言っておきながら手を出さないのには理由があった。
競売にかかる前の持ち主は、「なんとかキミコ」という。
どうやらそこに暗い過去の生い立ちめいた要素が含まれているんじゃ~ヨと
いつにもなく真剣な顔つきで答えていたのをよく覚えている。
でも、今でもこうやって謎の競売にかけられた物件を見に来ていることを考えると、どこかしら魅力的なことには違いない。
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